総合型選抜とは?幼児期から始める将来の大学受験準備ガイド

総合型選抜とは何か

大学入試の方法は年々多様化しており、その中でも注目を集めているのが総合型選抜です。従来の学力試験だけでは測れない、子どもの個性や可能性を評価する入試方式として、多くの大学で導入が進んでいます。幼児期を過ごすお子さんを持つ保護者の方にとって、将来の進路選択の幅を広げるためにも、総合型選抜の仕組みを理解しておくことは大切です。この見出しでは、総合型選抜の基本的な内容について、わかりやすく解説していきます。

総合型選抜の基本的な仕組み

総合型選抜は、かつてAO入試と呼ばれていた入試方式の新しい名称です。2021年度の入試改革に伴い、名称が変更されました。この入試方式の最大の特徴は、学力試験の点数だけでなく、受験生の意欲適性能力経験などを多面的に評価する点にあります。

具体的な選考方法は大学によって異なりますが、一般的には以下のような要素で評価されます。まず、志望理由書や自己推薦書などの書類審査があります。ここでは、なぜその大学のその学部を志望するのか、これまでどのような活動に取り組んできたのかを文章で表現します。次に、面接試験では、書類では伝えきれない人柄や考え方、コミュニケーション能力が評価されます。さらに、小論文プレゼンテーショングループディスカッションなどを実施する大学もあります。

早稲田大学や慶應義塾大学をはじめとする難関私立大学、さらには東京大学や京都大学などの国立大学でも、総合型選抜を導入しています。特に早稲田大学の政治経済学部や国際教養学部では、総合型選抜を通じて多様な学生を受け入れており、高い評価を得ています。選考では大学入学共通テストの受験を求めるケースもあり、基礎学力と個性の両方が重視される傾向にあります。

一般選抜との違い

一般選抜と総合型選抜の違いを理解することは、将来の進路選択を考える上で重要です。両者の最も大きな違いは、評価の軸にあります。

一般選抜は、主に学力試験の点数で合否が決まります。国公立大学では大学入学共通テストと個別学力試験の合計点、私立大学では各大学が実施する独自の試験の点数が重視されます。試験当日の出来が直接合否に影響するため、体調管理や試験本番での実力発揮が求められます。一方、総合型選抜では学力試験も参考にされますが、それ以上にこれまでの活動実績将来への意欲が評価されます。

実施時期にも違いがあります。一般選抜は通常1月から3月にかけて実施されますが、総合型選抜は9月から12月頃に出願・選考が行われることが多く、早い時期に進路が決まるメリットがあります。ただし、準備期間も長く必要で、高校1年生や2年生の頃からの活動が評価対象となります。

さらに、求められる能力も異なります。一般選抜では各教科の知識と問題解決能力が中心ですが、総合型選抜では主体性多様性協働性といった、いわゆる人間力が重視されます。つまり、幼児期から培ってきた好奇心や探究心、コミュニケーション能力などが、将来の大学入試で評価される可能性があるのです。

総合型選抜を実施している主な大学

総合型選抜は、現在多くの大学で実施されており、その数は年々増加しています。国公立大学から私立大学まで、幅広い大学がこの入試方式を採用しています。

国公立大学では、東京大学の学校推薦型選抜、京都大学の特色入試、筑波大学のAC入試などが代表的です。東京大学では各学部で推薦入試を実施しており、高い学力に加えて、各分野での実績や意欲が評価されます。京都大学の特色入試は、各学部の特色に応じた選抜方法で、例えば理学部では科学オリンピックなどでの実績が評価されることもあります。

私立大学では、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学などのいわゆるMARCH以上の大学で広く実施されています。早稲田大学では各学部で総合型選抜を実施しており、政治経済学部のグローバル入試や、スポーツ科学部のトップアスリート入試など、多様な選抜方法があります。慶應義塾大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)のAO入試は、特に有名で、独創的な活動や研究テーマを持つ学生を積極的に受け入れています。

また、専門性の高い分野では、東京藝術大学の芸術系学部、東京外国語大学の言語文化系学部なども総合型選抜を実施しており、それぞれの分野での実績や才能が重視されます。これらの入試では、幼児期から継続してきた習い事や活動が、将来の強みとなる可能性があります。

総合型選抜で求められる力

総合型選抜で評価される力は、一般的な学力テストでは測りにくい、人間としての総合的な能力です。これらの能力は、幼児期からの日常生活や遊び、学びの中で少しずつ育まれていきます。ここでは、具体的にどのような力が求められるのかを詳しく見ていきます。お子さんの成長過程で、これらの力を意識的に伸ばしていくことが、将来の可能性を広げることにつながります。

主体性と探究心

総合型選抜で最も重視される要素の一つが主体性です。主体性とは、自分で考え、自分で決めて、自分から行動する力のことを指します。大学は、与えられた課題をこなすだけでなく、自ら問題を見つけ、解決策を考え、実行できる学生を求めています。

幼児期における主体性の芽生えは、例えば「今日は何をして遊ぶか自分で決める」「興味を持ったことを深く調べる」といった小さな経験の積み重ねから始まります。保護者が全てを決めてしまうのではなく、子ども自身に選択の機会を与えることが大切です。朝ごはんのメニューを選ぶ、着る服を決める、休日の過ごし方を提案するなど、日常の中で主体的に考える場面を作ることができます。

また、探究心も重要な要素です。「なぜ空は青いの?」「どうして虫は飛べるの?」といった子どもの素朴な疑問に対して、すぐに答えを教えるのではなく、一緒に図鑑を見たり、実験をしたりして探究するプロセスを楽しむことが大切です。くもんやZ会、こどもちゃれんじなどの通信教育では、探究心を育てる教材も多く提供されています。特にZ会の「みらい思考力ワーク」は、試行錯誤しながら答えを見つける力を育てる内容となっています。

コミュニケーション能力と協働性

大学入試だけでなく、将来の社会生活においてもコミュニケーション能力は不可欠です。総合型選抜の面接やグループディスカッションでは、自分の考えを適切に伝える力、相手の話を理解する力、議論を建設的に進める力などが評価されます。

幼児期は、コミュニケーション能力の基礎を作る重要な時期です。家族との会話はもちろん、保育園や幼稚園での友達とのやりとり、地域の子育てサークルでの交流などを通じて、言葉で気持ちを伝える経験を積むことができます。「今日は何が楽しかった?」「それはどうしてだと思う?」といったオープンクエスチョンを使った会話を心がけると、子どもの表現力が育ちます。

協働性も現代社会で重視される力です。これは、異なる考えや背景を持つ人たちと協力して、一つの目標を達成する能力を指します。幼児期には、兄弟姉妹や友達と一緒におもちゃで遊ぶ、みんなで作品を作る、役割分担をして片付けをするといった経験が協働性の土台となります。ベネッセが運営する「こどもちゃれんじ」では、他者との関わり方を学ぶ教材も充実しており、社会性を育む工夫がなされています。また、リトミック教室や幼児向けプログラミング教室などでも、グループでの活動を通じて協働性を育てることができます。

思考力と表現力

思考力は、情報を整理し、分析し、論理的に考える力です。総合型選抜の小論文や面接では、単に知識を答えるのではなく、物事を多角的に考察し、自分なりの意見を持つことが求められます。また、その考えを他者に分かりやすく伝える表現力も同時に評価されます。

幼児期の思考力育成には、日常的な問いかけが効果的です。「今日の天気はどうかな?」「なぜそう思ったの?」「他にどんな方法があるかな?」といった質問を通じて、子どもが自分で考える習慣をつけることができます。また、パズルやブロック遊び、積み木などは、空間認識力論理的思考力を育てる優れた教材です。レゴエデュケーションやラキューなどのブロック教材は、創造力と思考力を同時に鍛えることができます。

表現力を育てるには、絵本の読み聞かせが非常に有効です。読み聞かせの後に「どの場面が好きだった?」「この後どうなると思う?」と問いかけることで、子どもは自分の感想や考えを言葉にする練習ができます。また、お絵かきや工作を通じて、視覚的に表現する力も育ちます。七田式教育や公文式では、年齢に応じた表現活動のプログラムも用意されており、計画的に表現力を伸ばすことが可能です。言葉だけでなく、身体表現音楽表現なども含めた多様な表現活動が、将来のプレゼンテーション能力につながっていきます。

多様な経験と実績

総合型選抜では、高校時代までの活動実績が重要な評価材料となります。これは部活動、生徒会活動、ボランティア、コンクールでの受賞歴、研究活動、留学経験など、多岐にわたります。そしてこれらの活動の多くは、幼児期からの経験や興味の積み重ねが基盤となっています。

幼児期は、多様な経験を積むことができる貴重な時期です。習い事を始めるのもこの時期が多く、ピアノやバイオリンなどの音楽、水泳や体操などのスポーツ、英語や算数などの学習系まで、さまざまな選択肢があります。ヤマハ音楽教室、スイミングスクール、ECCジュニアなど、全国展開している教室も多く、通いやすい環境が整っています。大切なのは、保護者の希望だけでなく、子ども自身の興味や適性を見極めることです。

また、日常的な体験も貴重な財産となります。季節の行事に参加する、博物館や科学館を訪れる、農業体験や自然観察をする、地域のお祭りに参加するなど、幅広い経験を通じて、子どもの視野が広がり興味の種が芽生えます。東京の国立科学博物館や大阪の大阪市立科学館などは、幼児でも楽しめる展示が充実しており、科学への興味を育てるきっかけになります。これらの経験が、将来的に「なぜこの分野を学びたいのか」という志望動機につながっていくのです。

なぜ幼児期から総合型選抜を意識すべきか

総合型選抜で評価される力は、高校生になってから急に身につけられるものではありません。それらは幼児期からの長い時間をかけた積み重ねによって育まれます。将来の選択肢を広げるという意味でも、幼児期の過ごし方は非常に重要です。ここでは、なぜ早い段階から意識すべきなのか、その理由と具体的なメリットについて解説します。

能力は一朝一夕では育たない

総合型選抜で求められる主体性探究心コミュニケーション能力といった力は、短期間の詰め込みで身につくものではありません。これらは日々の生活の中で、少しずつ、確実に育っていく性質の能力です。

例えば、主体性を例に考えてみます。高校生になってから突然「自分で考えて行動しなさい」と言われても、それまで全て指示されて育った子どもにとっては非常に難しいことです。幼児期から小さな選択の機会を与えられ、失敗も含めて経験を積んできた子どもは、自然と自分で判断する力を身につけています。脳科学の研究でも、幼児期の経験が脳の神経回路の形成に大きく影響することが明らかになっています。

また、探究心も同様です。「なぜ?」「どうして?」という疑問を持ち、それを追究する姿勢は、幼児期の好奇心を大切にすることから始まります。質問に対して「うるさい」と遮られたり、「そういうものだから」と片付けられたりした経験が多い子どもは、次第に疑問を持つこと自体をやめてしまいます。一方、疑問を歓迎され、一緒に調べたり考えたりする経験を積んだ子どもは、知的好奇心を持ち続けることができます。このように、幼児期の関わり方が、将来の学びへの姿勢を大きく左右するのです。

幼児期の経験が将来の土台になる

幼児期の経験は、将来の学力や能力の土台となります。教育心理学では、この時期を「黄金期」と呼び、学びの基礎が形成される重要な時期として位置づけています。

まず、言語能力について考えてみます。幼児期に絵本の読み聞かせを十分に受けた子どもは、語彙が豊富で、文章を理解する力が高いことが研究で示されています。これは将来、志望理由書を書いたり、面接で自分の考えを述べたりする際に、大きな強みとなります。また、日常的に家族と会話をする機会が多い子どもは、コミュニケーションスキルが高く、人との関わりに自信を持つことができます。

さらに、非認知能力の形成も幼児期が重要です。非認知能力とは、テストでは測れない能力のことで、やり抜く力(グリット)、自制心、協調性などが含まれます。これらの能力は、将来の学業成績や社会的成功に、IQよりも大きく影響することが近年の研究で明らかになっています。幼児期に遊びを通じて試行錯誤する経験、我慢する経験、友達と協力する経験などが、非認知能力を育てます。七田式やモンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育などの幼児教育法は、これらの能力を重視したカリキュラムを提供しています。

早期教育のメリットと注意点

早期教育には多くのメリットがありますが、同時に注意すべき点もあります。バランスの取れたアプローチが、子どもの健全な成長には不可欠です。

早期教育のメリットとしては、まず学びの基礎が早く身につくことが挙げられます。例えば、幼児期から音楽に触れている子どもは、絶対音感が身につきやすいですし、英語に触れている子どもは、ネイティブに近い発音を習得しやすくなります。また、学ぶことが楽しいというポジティブな感情を早期に持つことで、生涯にわたる学習意欲につながります。くもんの学習法やベビーくもん、ディズニー英語システムなどは、楽しみながら学びの習慣をつける工夫がされています。

一方で、注意点もあります。最も大切なのは、子どものペースを尊重することです。保護者の焦りや期待が過度になると、子どもにとって学びがストレスとなり、かえって意欲を削いでしまいます。「他の子ができているから」という比較は避け、わが子の成長を見守る姿勢が大切です。また、詰め込み型の学習ではなく、遊びの中で学ぶという視点を忘れないことも重要です。幼児期は遊びを通じて多くのことを学びます。自由な遊びの時間を確保し、子どもの創造性や自主性を育てることが、長期的には大きな力となります。

メリット注意点
学びの基礎が早く身につく子どものペースを尊重する
学習意欲が育ちやすい詰め込み型を避ける
将来の選択肢が広がる遊びの時間を確保する
得意分野を早く見つけられる過度な期待を避ける

この表からわかるように、早期教育は適切に行えば大きなメリットがありますが、子どもの気持ちや発達段階を無視した強制的なものであってはなりません。

幼児期から始める総合型選抜対策

総合型選抜を見据えた準備といっても、特別なことをする必要はありません。日常生活の中で、ちょっとした工夫や意識を持つことで、子どもの可能性を大きく伸ばすことができます。ここでは、具体的にどのような取り組みができるのか、実践的な方法をご紹介します。どれも今日から始められることばかりですので、ぜひ参考にしてください。

好奇心を育てる遊びと学び

子どもの好奇心は、将来の探究心や学習意欲の源泉です。幼児期は好奇心が最も旺盛な時期であり、この時期に興味の幅を広げることが大切です。

自然との触れ合いは、好奇心を育てる最良の方法の一つです。公園で葉っぱを集めたり、虫を観察したり、季節の変化を感じたりする経験は、子どもの観察力疑問を持つ力を育てます。「この葉っぱはどうして赤くなったのかな」「ダンゴムシはどこに住んでいるのかな」といった問いかけから、探究が始まります。図鑑を一緒に見たり、写真を撮って記録したりすることで、観察する習慣が身につきます。福音館書店の「かがくのとも」シリーズや学研の「ふしぎがいっぱい」シリーズは、自然への興味を深める良質な絵本です。

科学実験も効果的です。といっても難しいものではなく、台所でできる簡単な実験で十分です。氷が溶ける様子を観察する、色水を混ぜて色の変化を見る、野菜の切れ端を水に浸けて再生させるなど、身近な材料で科学の不思議に触れることができます。学研の「科学と学習」や、市販されている幼児向け実験キットも活用できます。大切なのは、実験の結果だけでなく、「なぜそうなると思う?」「他にどんな方法があるかな?」とプロセスを楽しむことです。

また、ブロック遊びパズルも、論理的思考力を育てる優れた遊びです。レゴやニューブロックなどのブロック玩具は、創造力と空間認識能力を同時に鍛えることができます。最初は簡単な形から始めて、徐々に複雑な構造に挑戦することで、試行錯誤する力達成感を味わえます。

コミュニケーション力を伸ばす日常の工夫

コミュニケーション能力は、家庭での日常的な関わりの中で育ちます。特に、質の高い会話を心がけることが重要です。

まず、子どもの話をしっかり聞くことから始めます。忙しいとつい「後でね」と言ってしまいがちですが、子どもが話したいと思ったタイミングを大切にすることで、話すことへの意欲が育ちます。目を見て、うなずきながら聞くことで、子どもは「自分の話が受け入れられている」と感じ、自己肯定感も高まります。

オープンエンドの質問を使うことも効果的です。「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、「今日の保育園でどんなことが楽しかった?」「その絵本のどこが面白かったの?」といった、自分の考えや感想を言葉にする質問を投げかけます。最初は上手く答えられなくても、繰り返すうちに表現する力が育っていきます。

食事の時間は、家族でコミュニケーションを取る絶好の機会です。テレビを消して、今日あったことや気になるニュースについて話し合う時間を持つことで、子どもは会話のキャッチボールを学びます。また、家族でボードゲームをすることも、ルールを守る、順番を待つ、協力するといった社会性を育てる良い機会になります。アナログゲームを扱う「すごろくや」などの専門店では、年齢に応じたコミュニケーションゲームが豊富に揃っています。

体験活動と実体験の重要性

デジタル時代だからこそ、実体験の価値が見直されています。画面を通じた学びも大切ですが、五感を使った体験は、子どもの記憶に深く刻まれ、豊かな感性を育てます。

自然体験は、都市部に住んでいてもできることがたくさんあります。週末に少し足を延ばして、海や山、川に出かけることで、自然の大きさや美しさを実感できます。また、家庭菜園やプランターでの野菜栽培も、生命の成長を見守る貴重な体験です。種をまき、水をやり、芽が出て、実がなる過程を観察することで、生命への興味責任感が育ちます。ミニトマトやバジルなど、簡単に育てられる野菜から始めるとよいです。

文化体験も大切です。美術館、博物館、水族館、動物園などの施設は、子どもの視野を広げる場所です。東京国立博物館の親子向けプログラムや、国立科学博物館のディスカバリールームなど、幼児が楽しめる工夫がされた施設も増えています。また、地域の伝統行事や祭りに参加することで、文化や歴史への関心が芽生えます。

さらに、社会体験として、買い物やレストランでの食事なども学びの機会になります。スーパーでの買い物では、予算を考えながら商品を選ぶ、店員さんに挨拶をする、といった社会性を学べます。お手伝いも立派な体験学習です。料理の手伝い、洗濯物をたたむ、部屋の掃除など、生活スキルを身につけながら、家族の一員としての責任感も育ちます。

読書習慣と表現力の育成

読書は、語彙力想像力共感力など、多くの能力を育てる最も効果的な方法の一つです。幼児期から読書習慣をつけることは、将来の学力向上にも大きく貢献します。

読み聞かせは、親子のコミュニケーションの時間でもあります。寝る前の10分間でも、毎日続けることが大切です。読み聞かせのコツは、感情を込めて読むこと、絵を一緒に楽しむこと、そして読んだ後に感想を話し合うことです。「どのキャラクターが好き?」「次はどうなると思う?」といった問いかけで、子どもの思考力表現力が育ちます。

図書館を活用することもおすすめです。多くの市町村立図書館では、乳幼児向けのおはなし会や読み聞かせイベントを開催しています。また、図書館には年齢別のおすすめ本リストがあり、良質な絵本を選ぶ参考になります。絵本作家の長新太や五味太郎、海外作家ではエリック・カールやレオ・レオニなど、幼児期に触れておきたい名作は数多くあります。

表現力を育てるには、アウトプットの機会も大切です。絵日記をつける、お話を作って絵本にする、劇遊びをするなど、自分の考えや感情を表現する活動を取り入れます。最近では、デジタルツールを使って簡単に絵本を作れるアプリもあり、子どもの創作意欲を刺激します。また、家族の前で発表する機会を作ることで、人前で話す力も養われます。

年齢別・総合型選抜を見据えた育て方

子どもの発達段階に応じて、適切なアプローチは変わってきます。ここでは、0歳から6歳までを3つの時期に分け、それぞれの時期に特に意識したいポイントと具体的な取り組みをご紹介します。焦らず、お子さんのペースに合わせながら、楽しく実践していくことが何より大切です。

0歳から2歳の取り組み

0歳から2歳は、人間の基礎となる愛着形成感覚の発達が最も重要な時期です。この時期の関わりが、将来の人間関係や学習意欲の土台となります。

スキンシップと語りかけが何より大切です。抱っこをしたり、目を見て話しかけたりすることで、安心感と信頼関係が育ちます。オムツ替えや授乳の時間も、優しく声をかけながら行うことで、言語の基礎が作られます。「おむつを替えようね」「おっぱいを飲もうね」といった実況中継のような語りかけが、言葉の理解を助けます。

この時期は五感を刺激する遊びが効果的です。音の鳴るおもちゃ、様々な手触りの布、鮮やかな色のボールなど、感覚を刺激するものに触れさせます。公文式の「くもんのジグソーパズル」は、手先の発達と認識力を育てる良い教材です。また、わらべうたや手遊び歌も、リズム感と親子の絆を育てます。こどもちゃれんじbabyでは、月齢に応じた五感刺激の教材が届くので、何を与えればいいか迷う保護者にも安心です。

1歳を過ぎると、少しずつ自我が芽生えてきます。「自分でやりたい」という気持ちを尊重し、時間がかかっても見守る姿勢が大切です。靴を履く、コップで飲む、スプーンを使うなど、生活習慣の自立を少しずつ進めます。失敗しても叱らず、できたことを褒めることで、自己肯定感が育ちます。また、簡単な絵本の読み聞かせを始める時期でもあります。「いないいないばあ」や「がたんごとん」など、リズムの良い繰り返しの絵本が喜ばれます。

3歳から4歳の取り組み

3歳から4歳は、社会性言語能力が急速に発達する時期です。友達との関わりが増え、自分の気持ちを言葉で表現できるようになります。

この時期はごっこ遊びが盛んになります。お店屋さんごっこ、お医者さんごっこなど、役割を演じる遊びを通じて、想像力社会性が育ちます。保護者も一緒に遊びに参加し、「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」といったやりとりを楽しむことで、コミュニケーションの基本を学びます。また、ブロックや粘土などの創作活動も、この時期の子どもは大好きです。作ったものについて話を聞いたり、展示したりすることで、表現する喜びを感じられます。

なぜなぜ期と呼ばれるこの時期は、質問攻めに遭うことも多いです。面倒に感じることもあるかもしれませんが、これは知的好奇心が育っている証拠です。できるだけ丁寧に答えたり、「どうしてだと思う?」と逆に問いかけたりすることで、考える力が伸びます。幼児向けの科学絵本や図鑑を一緒に見ることもおすすめです。小学館の「NEO」シリーズや学研の「はっけん大図鑑」は、幼児でも楽しめる工夫がされています。

習い事を始めるのもこの時期が多いです。水泳、体操、ピアノ、英語など、選択肢は様々です。大切なのは、子どもの興味や性格に合ったものを選ぶことです。体験レッスンを利用して、子どもの反応を見ながら決めるとよいです。例えば、ヤマハ音楽教室の「おんがくなかよしコース」やベネッセの英語教室「BE studio」など、3歳から始められるプログラムがあります。ただし、あれこれ詰め込まず、自由に遊ぶ時間も十分に確保することが大切です。

5歳から6歳の取り組み

5歳から6歳は、就学を控え、学びの基礎を整える重要な時期です。遊びを通じた学びに加えて、少しずつ系統的な学習にも触れていく段階です。

文字や数への興味が高まる時期です。無理に教え込むのではなく、生活の中で自然に触れる機会を作ります。絵本を一緒に読みながら、「これは何て書いてあるの?」と子どもから聞いてくることが増えてきます。その時がまさに学びのチャンスです。また、お買い物で「リンゴを3つ買おうね」「全部でいくらかな?」といった会話を通じて、数の概念を身につけることができます。公文式の「ひらがなカード」や学研の「もじ・かずボード」など、遊びながら学べる教材も充実しています。

集団生活のルールを学ぶ時期でもあります。順番を守る、人の話を聞く、自分の意見を言う、協力するなど、小学校生活に必要な社会性を育てます。幼稚園や保育園での活動はもちろん、地域のスポーツクラブやお稽古事でも、こうしたスキルが培われます。サッカーや野球などのチームスポーツは、協働性を育てる良い機会です。また、発表会や作品展などで、人前で表現する経験を積むことも大切です。

この時期から、少しずつ学習習慣をつけていくこともできます。毎日10分間、ワークをする時間を作る、寝る前に本を読むなど、決まった時間に決まったことをする習慣が、小学校入学後の学習にスムーズにつながります。Z会の「幼児コース」や七田式の「プリント学習」など、年長向けの教材は、就学準備を意識した内容になっています。ただし、嫌がる場合は無理強いせず、まずは学ぶことの楽しさを感じられるようにすることが優先です。ゲーム感覚で取り組めるタブレット学習教材「スマイルゼミ」なども、楽しみながら学習習慣をつける選択肢の一つです。

年齢発達の特徴重点的に育てたい力おすすめの活動
0〜2歳愛着形成・感覚発達安心感・基本的信頼感スキンシップ・五感遊び・語りかけ
3〜4歳社会性・言語発達想像力・コミュニケーションごっこ遊び・創作活動・図鑑
5〜6歳就学準備・学習基礎学習習慣・協働性文字数遊び・集団活動・学習教材

この表のように、年齢ごとに発達の特徴と育てたい力は異なります。お子さんの成長を見守りながら、その時期に合った関わりを心がけることが、総合型選抜で求められる力を育てる近道となります。