
目次
TOEICの基礎知識
TOEICは世界中で認められている英語コミュニケーション能力を測定するテストです。お子さんがまだ小さい今だからこそ、将来必要となる英語力の目標として、TOEICについて理解しておくことは親として大切な準備になります。
この章では、TOEICとは何か、どのような試験なのかを分かりやすく解説していきます。幼児期のお子さんを持つ保護者の方にも理解しやすいよう、基本的な情報からお伝えします。
TOEICとは何か
TOEIC(トーイック)は、Test of English for International Communicationの略称で、英語によるコミュニケーション能力を評価する国際的な試験です。1979年にアメリカの非営利団体ETSによって開発され、現在では世界約160カ国で実施されています。
日本国内でも年間約200万人以上が受験しており、企業の採用や昇進、大学の単位認定など、様々な場面で活用されています。特に就職活動では、多くの企業がTOEICスコアを採用基準の一つとして重視しているのが現状です。
TOEICには複数の種類がありますが、最も一般的なのはTOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)で、リスニング(聞く力)とリーディング(読む力)の2つの能力を測定します。スコアは10点から990点満点で表され、正解数に応じて統計処理によってスコアが算出される仕組みです。
試験時間は約2時間で、マークシート方式により回答します。合格・不合格の判定ではなく、スコアで英語力を示すため、自分の現在の実力を客観的に把握できる点が特徴です。お子さんが将来受験する可能性があることを考えると、今から親がその概要を知っておくことには意味があります。
TOEICの試験内容と形式
TOEIC L&Rテストは、リスニングセクション100問(約45分)とリーディングセクション100問(75分)の合計200問で構成されています。それぞれのセクションが495点満点で、合計990点満点となります。
リスニングセクションは4つのパートに分かれています。Part 1は写真描写問題、Part 2は応答問題、Part 3は会話問題、Part 4は説明文問題です。日常会話からビジネスシーンまで、幅広い場面での聞き取り能力が試される内容になっています。
リーディングセクションも3つのパートで構成されています。Part 5は短文穴埋め問題、Part 6は長文穴埋め問題、Part 7は読解問題です。文法や語彙の知識だけでなく、情報を素早く正確に読み取る能力も求められます。
試験は年10回程度、全国約80都市で実施されており、受験料は7,810円(2024年度)です。結果は試験日から約3週間後にオンラインで確認でき、公式認定証は約1カ月後に郵送されます。この試験形式を理解しておくことで、お子さんの英語学習の長期的な目標設定に役立てることができます。
TOEICスコアの目安と評価基準
TOEICのスコアは、英語能力のレベルを示す重要な指標となります。一般的に、400点未満は基礎レベル、400〜600点は初級レベル、600〜800点は中級レベル、800点以上は上級レベルとされています。
企業が求めるスコアの目安を見てみると、新卒採用では平均して550〜600点程度が期待されることが多いです。グローバル企業や外資系企業では700〜800点以上を求めるケースも珍しくありません。昇進や海外赴任の条件として、750点以上を設定している企業も増えています。
大学では、推薦入試やAO入試で一定のTOEICスコアを出願条件としているところもあります。また、単位認定制度を設けている大学も多く、600点以上で2単位、730点以上で4単位認定といった基準が一般的です。
ビジネスシーンでの実用性を考えると、600点で基本的な業務メールの読み書きができるレベル、730点で英語での会議参加や資料作成が可能なレベル、860点以上でネイティブスピーカーとスムーズにコミュニケーションが取れるレベルといわれています。お子さんの将来を見据えて、これらの基準を知っておくことは教育方針を立てる上で参考になるでしょう。
他の英語試験との違い
英語能力を測る試験は複数ありますが、それぞれ目的や特徴が異なります。TOEICは主にビジネス英語のコミュニケーション能力を測定する試験であるのに対し、英検(実用英語技能検定)は総合的な英語力を段階的に評価する試験です。
英検は5級から1級までの7つの級に分かれており、合格・不合格の判定がある点がTOEICとの大きな違いです。また、英検にはスピーキングテストとライティングテストも含まれており、4技能(読む・聞く・書く・話す)を総合的に評価します。
TOEFLは主に北米の大学への留学を目指す人向けの試験で、アカデミックな内容が中心となっています。大学の講義や学術的な文章を理解できるかどうかが評価の焦点です。IELTSはイギリス、オーストラリア、カナダなどへの留学や移住に必要な試験として知られています。
お子さんが将来どのような進路を選ぶかによって、目指すべき試験は変わってきます。ただし、基礎的な英語力があれば、どの試験にも対応できるため、幼児期から英語に親しむ環境を整えることが何より大切です。
幼児期から始める英語教育の重要性
お子さんが0歳から6歳の時期は、言語習得において最も重要な黄金期といわれています。この時期に英語に触れることで、将来のTOEIC受験や英語力向上の基盤を築くことができます。
脳科学の研究によると、幼児期は音の違いを聞き分ける能力が非常に高く、発音の習得にも適しています。この章では、なぜ幼児期の英語教育が重要なのか、具体的にどのような効果があるのかを見ていきます。
言語習得の臨界期と脳の発達
人間の脳には言語習得の臨界期があり、特に0歳から10歳頃までが最も言語を吸収しやすい時期とされています。この時期の子どもの脳は、新しい音や言葉を柔軟に受け入れる能力が高く、母語と同じように自然に言語を習得できます。
研究によると、生後6カ月までの赤ちゃんは世界中のあらゆる言語の音を聞き分けられるとされています。しかし、この能力は母語環境の中で徐々に限定されていき、1歳頃には母語の音に特化していきます。つまり、早期から英語の音に触れることで、英語特有の音を聞き取る耳を育てることができるのです。
幼児期の脳は、大人の脳と比べて神経回路の結合が活発で、新しい情報を吸収しやすい状態にあります。この時期に英語を聞いたり話したりする経験を積むことで、英語を処理する脳の回路が形成されていきます。
ただし、無理に詰め込むような学習は逆効果です。遊びや日常生活の中で自然に英語に触れる機会を作ることが、この時期の英語教育では最も大切です。歌や絵本、簡単な会話など、楽しみながら英語に親しむことで、将来のTOEIC学習にも役立つ英語の基礎力が育っていきます。
バイリンガル教育のメリット
幼児期からの英語教育、いわゆるバイリンガル教育には、言語能力だけでなく、認知能力全般を高める効果があることが研究で明らかになっています。2つの言語を使い分けることで、脳の実行機能が鍛えられるのです。
バイリンガルの子どもは、問題解決能力や創造性、柔軟な思考力が高い傾向にあります。これは、常に2つの言語システムを切り替えながら使用することで、脳の前頭前野が活性化されるためです。この前頭前野は、計画を立てたり、注意をコントロールしたりする重要な役割を担っています。
また、複数の言語を習得することで、異なる文化や価値観を理解する力も自然に育ちます。グローバル化が進む現代社会において、この多文化理解の能力は、お子さんの将来の可能性を大きく広げてくれるでしょう。
ただし、母語の発達を妨げないよう注意が必要です。日本語と英語のバランスを考え、まずは日本語での豊かなコミュニケーション能力を育てながら、英語にも触れる機会を作ることが理想的です。家庭では日本語、英語教室では英語というように、場面を分けて使用するのも効果的な方法です。
早期英語教育の具体的な効果
早期から英語に触れることで得られる具体的な効果は、発音の正確さです。幼児期は耳が敏感で、英語特有の音を正確に聞き取り、再現する能力が高いため、ネイティブに近い発音を身につけやすくなります。
語彙の習得スピードも大きな効果の一つです。子どもは遊びや体験を通じて言葉を覚えるため、早くから英語に触れることで、自然に英単語を吸収していきます。この時期に覚えた単語は、深い記憶として定着しやすいという特徴があります。
英語に対する抵抗感がなくなることも重要なポイントです。大人になってから英語学習を始めると、恥ずかしさや不安から話すことをためらう人が多いですが、幼児期から英語に親しんでいると、英語を使うことが自然な行為として身につきます。
将来のTOEIC受験を考えた場合、幼児期からの英語学習は基礎的なリスニング力の土台となります。TOEICのリスニングセクションで高得点を取るには、英語の音に慣れていることが不可欠です。早期から英語の音に触れることで、将来のスコアアップにつながる耳が育っていくのです。
家庭でできる英語環境の作り方
家庭で英語環境を作る第一歩は、英語の音楽や歌を日常的に流すことです。食事の時間や遊びの時間に、英語の童謡やキッズソングをBGMとして流すだけでも、お子さんは自然に英語の音に親しむことができます。
英語の絵本を読み聞かせることも効果的です。最初は親が日本語で内容を説明しながら、英語の音を聞かせる形でも構いません。繰り返し同じ絵本を読むことで、お子さんは英語のフレーズを自然に覚えていきます。人気の絵本としては「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?」や「The Very Hungry Caterpillar」などがあります。
英語の動画コンテンツも活用できます。YouTubeには「Super Simple Songs」や「Peppa Pig」など、幼児向けの質の高い英語コンテンツが豊富にあります。ただし、視聴時間は1日30分程度に抑え、親子で一緒に見て会話することが大切です。
英語教室に通うことも選択肢の一つです。0歳から通える教室も増えており、ベネッセの「こどもちゃれんじEnglish」、ECCジュニア、ヤマハ英語教室などが人気です。これらの教室では、遊びを通じて楽しく英語に触れるカリキュラムが組まれています。重要なのは、お子さんが英語を楽しいと感じられる環境を作ることです。
TOEICと子どもの将来のキャリア
TOEICのスコアは、お子さんが将来社会に出たときに、様々な場面で役立つツールとなります。就職活動から昇進、転職まで、英語力を客観的に示す指標として広く認められています。
現代のビジネス環境では、英語力がキャリアの選択肢を大きく広げる要因となっています。この章では、TOEICが具体的にどのようにお子さんの将来のキャリアに影響するのかを見ていきます。
就職活動におけるTOEICの重要性
就職活動において、TOEICスコアは多くの企業が重視する評価項目の一つとなっています。リクルート社の調査によると、約7割の企業が採用時にTOEICスコアを参考にしているというデータがあります。
特に人気企業や大手企業では、エントリーシート(ES)の段階でTOEICスコアの記入欄が設けられていることが多く、600点以上が一つの目安とされています。商社や外資系企業では、700点から800点以上を求められるケースも珍しくありません。
楽天やユニクロ(ファーストリテイリング)のように、社内公用語を英語にしている企業も増えています。これらの企業では、入社後も継続的に英語力の向上が求められ、一定のTOEICスコアが昇進の条件になっていることもあります。
IT業界でも英語力の重要性は高まっています。プログラミング言語の多くは英語ベースであり、最新の技術情報も英語で発信されることが多いため、英語力がキャリアの幅を広げる鍵となります。お子さんの将来を考えると、今から英語の基礎力を育てることは、就職活動での強みになるといえるでしょう。
グローバル人材として求められる英語力
グローバル化が進む現代社会では、国境を越えて活躍できる人材の需要が高まっています。企業が海外展開を進める中、英語でコミュニケーションが取れる人材は貴重な存在となっています。
TOEICで800点以上を取得していると、海外赴任や国際プロジェクトへの参加機会が得られやすくなります。実際、多くのグローバル企業では、海外勤務の条件として一定のTOEICスコアを設定しています。例えば、三菱商事やトヨタ自動車などでは、海外駐在員に高い英語力を求めています。
また、国際会議や海外の取引先とのやり取りでは、英語が共通言語として使用されます。英語で自分の意見を明確に伝え、相手の意図を正確に理解する能力は、ビジネスを円滑に進めるために不可欠です。
グローバル人材として活躍するためには、単なる語学力だけでなく、異文化理解力やコミュニケーション能力も重要です。幼児期から多様な文化に触れる経験を通じて、これらの能力を育てることができます。英語絵本や動画を通じて外国の文化に触れることは、お子さんの視野を広げる第一歩となります。
大学入試や推薦入試での活用
近年、大学入試においてもTOEICスコアの活用が進んでいます。多くの大学が、一定のTOEICスコアを持っていると、英語試験を免除したり、加点したりする制度を導入しています。
推薦入試やAO入試(総合型選抜)では、TOEICスコアが出願条件となっているケースもあります。例えば、早稲田大学の国際教養学部や上智大学の外国語学部などでは、高いTOEICスコアがアドミッションポリシーの一つとして重視されています。
一般入試においても、大学入学共通テストの英語の代わりに、TOEICなどの外部試験のスコアを利用できる大学が増えています。明治大学、立教大学、青山学院大学など、多くの私立大学でこの制度が導入されています。
単位認定制度も広く普及しています。入学時または在学中に一定のTOEICスコアを取得すると、英語科目の単位として認定される大学が多数あります。これにより、他の科目の学習に時間を割くことができ、より充実した大学生活を送ることができます。お子さんの進学先の選択肢を広げるためにも、早期からの英語学習は有効な投資といえます。
英語力がもたらす生涯の可能性
英語力は、お子さんの人生において長期的な価値をもたらします。キャリアの選択肢が広がるだけでなく、人生を豊かにする様々な経験や出会いの機会を増やしてくれます。
収入面でも、英語力は大きなアドバンテージとなります。一般的に、英語を使う仕事は給与水準が高い傾向にあり、TOEICで高得点を持っている人は、そうでない人に比べて年収が高いというデータもあります。
海外旅行や留学の際にも、英語力があれば、より深い文化体験ができます。現地の人々と直接コミュニケーションを取ることで、旅行がより充実したものになり、グローバルな視点を養う貴重な機会となります。
情報収集の幅も格段に広がります。インターネット上の情報の約半数は英語で書かれているため、英語が読めると、最新の研究成果や世界のニュースに直接アクセスできます。これは、どのような分野に進むにしても、大きな強みとなるでしょう。お子さんの可能性を最大限に引き出すために、今から英語の基礎を育てることは、何よりの贈り物といえます。
年齢別の英語学習アプローチ
お子さんの年齢によって、適切な英語学習のアプローチは異なります。発達段階に合わせた方法で英語に触れることが、無理なく楽しく学習を続けるコツです。
この章では、0歳から6歳までの各年齢において、どのような英語学習が効果的なのか、具体的な方法を紹介していきます。それぞれの時期に合った働きかけを知ることで、お子さんの英語力の土台を着実に築いていけます。
0歳から2歳の英語の取り入れ方
0歳から2歳の時期は、英語の音に親しむことが最も重要です。この時期の赤ちゃんは、音を聞き分ける能力が非常に高く、様々な言語の音を吸収できます。難しいことを教える必要はなく、英語の音を聞かせることが第一歩です。
おすすめの方法は、英語の童謡を聞かせることです。「Twinkle, Twinkle, Little Star」や「Mary Had a Little Lamb」などの単純なメロディーの歌は、赤ちゃんの耳に心地よく響きます。毎日決まった時間に英語の歌を流すことで、英語の音のリズムやイントネーションに自然に慣れていきます。
英語での語りかけも効果的です。おむつ替えや食事の時間に、「Let’s change your diaper」「It’s time to eat」など、簡単な英語フレーズを使ってみましょう。親の発音が完璧でなくても問題ありません。大切なのは、英語を特別なものではなく、日常的なコミュニケーションの一部として取り入れることです。
この時期に利用できる教材としては、「ディズニー英語システム」や「ワールドワイドキッズ」などの0歳から使える英語教材があります。また、地域の親子英語サークルに参加して、同じ年齢のお子さんを持つ親同士で情報交換をするのも良い方法です。
3歳から4歳の効果的な学習法
3歳から4歳になると、言葉を理解し、簡単な会話ができるようになります。この時期は、英語でのやり取りを増やし、実際にコミュニケーションを楽しむ段階です。
絵本の読み聞かせが特に効果的な時期です。シンプルなストーリーで、繰り返しのフレーズが多い絵本を選びましょう。「Good Night, Moon」や「Where’s Spot?」などは、この年齢のお子さんに人気があります。同じ絵本を何度も繰り返し読むことで、お子さんは自然にフレーズを覚えていきます。
英語のアニメや動画も活用できます。「Peppa Pig」「Bluey」「Paw Patrol」などは、日常会話のフレーズが多く含まれており、楽しみながら英語を学べます。ただし、視聴は1日30分程度に抑え、見た後に親子で内容について話す時間を持つことが大切です。
英語教室に通い始めるのもこの時期が適しています。ECCジュニアの「3歳児クラス」や、ベルリッツキッズの「4歳からのコース」などでは、遊びを中心としたカリキュラムで英語を学べます。友達と一緒に英語を使う経験は、お子さんのモチベーションを高めてくれます。
5歳から6歳の実践的な英語力育成
5歳から6歳は、より実践的な英語力を育てる重要な時期です。この年齢になると、簡単な読み書きも始められるようになり、英語学習の幅が大きく広がります。
フォニックス(音と文字の関係)を学ぶのに最適な時期です。「A is for Apple」のように、文字と音を結びつけて覚えることで、英語の読み書きの基礎が身につきます。「Jolly Phonics」や「Phonics Kids」などの教材を使うと、楽しくフォニックスを学べます。
簡単な英語の本を自分で読む練習も始められます。「Oxford Reading Tree」や「Sight Word Readers」シリーズは、段階的にレベルが上がるように設計されており、お子さんの達成感を育てながら読解力を伸ばせます。
英会話スクールでは、よりコミュニケーション重視のレッスンが受けられます。ベルリッツキッズやシェーン英会話、ECC外語学院などでは、ネイティブ講師との対話を通じて実践的な英語力を育てるプログラムがあります。週1〜2回のレッスンに加えて、家庭での復習時間を設けることで、学習効果が大きく高まります。
オンライン英会話も選択肢として検討できる年齢です。リップルキッズパークやhanasoキッズなどは、子ども向けのカリキュラムが充実しており、自宅で気軽にネイティブとの会話練習ができます。
発達段階に合わせた教材選び
お子さんの英語学習を効果的に進めるには、発達段階に合った教材を選ぶことが重要です。年齢や興味に合わない教材は、お子さんの学習意欲を下げてしまう可能性があります。
0〜2歳向けの教材としては、音が出る絵本やカードがおすすめです。「アンパンマンのえいごずかん」や「タッチペンで音が聞ける英語絵本」などは、視覚と聴覚の両方から英語を学べます。触って遊びながら学べる教材は、この年齢の子どもの好奇心を刺激します。
3〜4歳向けには、ストーリー性のある絵本やDVD教材が適しています。「こどもちゃれんじEnglish」では、しまじろうと一緒に英語を学べる教材が毎月届き、お子さんの興味を持続させやすい仕組みになっています。
5〜6歳になると、ワークブックやアクティビティブックも取り入れられます。「My First Alphabet」や「My First English」シリーズは、楽しいイラストとともに、書く練習ができる教材です。鉛筆を持って文字を書く練習は、小学校入学前の準備としても有効です。
教材を選ぶ際は、お子さんが楽しめることを最優先に考えましょう。親が良いと思っても、お子さんが興味を示さなければ効果は期待できません。実際に書店や教室で試してみて、お子さんの反応を見てから購入するのがおすすめです。また、一つの教材に固執せず、飽きてきたら別の教材に切り替える柔軟性も大切です。
TOEICに向けた長期的な学習計画
お子さんが将来TOEICで高得点を取るためには、幼児期から一貫した英語学習の計画を立てることが効果的です。焦る必要はありませんが、長期的な視点で段階的に英語力を育てていくことが大切です。
この章では、幼児期から中学・高校、そして大学生や社会人としてTOEICを受験するまでの道のりを見据えた学習計画について解説します。
幼児期から小学校低学年までの基礎作り
幼児期から小学校低学年までは、英語を楽しむことと、英語の音に親しむことが最優先です。この時期に無理に文法や単語を詰め込むと、英語に対する苦手意識が生まれてしまう可能性があります。
具体的な目標としては、まず英語の歌を10曲以上歌えるようになることです。歌を通じて、英語のリズムやイントネーションを自然に身につけることができます。また、簡単な英語の絵本を50冊以上読み聞かせることで、基本的な単語や表現に触れる機会を増やせます。
小学校入学前には、アルファベットの大文字・小文字が読み書きできるようになることを目指しましょう。フォニックスの基礎も学び始めると、簡単な3文字の単語(cat、dog、sunなど)が読めるようになります。
小学校低学年では、英語の読書習慣をつけることが重要です。レベル別の読み物シリーズ「I Can Read」や「Step into Reading」などを使い、週に2〜3冊のペースで読み進めることを目標にします。この時期に読んだ本の量が、将来のリーディング力の基礎となります。
小学校高学年から中学生の英語力強化
小学校高学年から中学生にかけては、より体系的な英語学習に移行する時期です。学校の授業でも本格的に英語が始まり、文法や語彙の学習が重要になってきます。
小学5〜6年生では、英検5級や4級にチャレンジするのも良い目標です。英検は合格・不合格がはっきりしているため、達成感を得やすく、学習のモチベーション維持に役立ちます。旺文社の「英検5級総合対策教本」などを使って、計画的に学習を進めましょう。
中学生になったら、英検3級や準2級を目指します。英検準2級は高校中級レベルとされており、中学卒業までに取得できれば、高校での英語学習がスムーズに進みます。同時に、英語の多読も継続し、年間50冊以上の英語の本を読むことを目標にしましょう。
この時期から、少しずつTOEICを意識した学習も始められます。中学生向けのTOEIC Bridge®テストは、一般のTOEICよりも易しい内容で、TOEIC形式に慣れる良い練習になります。まずはTOEIC Bridge®で80点以上(TOEIC換算で400点程度)を目標に学習を進めましょう。
高校生からのTOEIC対策開始
高校生になると、いよいよ本格的なTOEIC学習を始める時期です。大学入試での活用や、就職を見据えて、具体的なスコア目標を設定することが重要になります。
高校1年生では、まずTOEIC L&Rテストを一度受験して、現在の実力を把握しましょう。最初の目標は500点です。500点は基礎的な英語力があることを示すスコアで、大学入試でも評価される基準となります。
高校2年生では、600点を目指します。この段階で必要なのは、語彙力の強化と文法の確実な理解です。「TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ」などの単語帳を使い、毎日30分の単語学習を習慣化します。また、公式問題集を使って、TOEIC特有の問題形式に慣れることも大切です。
高校3年生では、700点以上を目標にします。700点あれば、多くの大学の推薦入試や英語試験免除制度を利用できます。この時期は、リスニング力とリーディングスピードの向上に重点を置いた学習が効果的です。
TOEIC対策ができる塾としては、日米英語学院のTOEIC対策コースや、トフルゼミナールなどがあります。これらの塾では、スコア別のクラス編成で効率的に学習できます。
継続的な英語学習の習慣化
英語力を維持し、さらに向上させるには、継続的な学習習慣を確立することが何より重要です。TOEICで一度高得点を取っても、学習をやめてしまうと、スコアは徐々に下がってしまいます。
毎日の学習時間を確保することが基本です。社会人になると忙しくなりますが、朝の通勤時間や昼休みなど、隙間時間を活用して1日30分でも英語に触れる習慣をつけましょう。スマートフォンのアプリを使えば、場所を選ばず学習できます。
定期的にTOEICを受験することも、学習を継続する良い動機付けになります。年に2〜3回受験し、スコアの推移を記録することで、自分の成長を実感できます。目標スコアを達成したら、さらに高い目標を設定して、学習を続けましょう。
英語を使う機会を積極的に作ることも大切です。オンライン英会話で定期的に会話練習をしたり、英語のニュースやポッドキャストを聞いたりすることで、実践的な英語力を維持できます。英語学習を生活の一部にすることが、長期的な英語力向上の秘訣です。お子さんが幼い頃から、親も一緒に英語学習に取り組む姿勢を見せることで、自然と継続的な学習習慣が身につきます。
親ができるサポートと心構え
お子さんの英語学習において、親のサポートは非常に重要な役割を果たします。ただし、過度なプレッシャーや無理強いは逆効果になることもあります。
この章では、親としてどのようにお子さんの英語学習を支援できるか、そして心がけるべきポイントについて解説します。
家庭での英語環境の整え方
家庭で英語環境を整えることは、お子さんが自然に英語に触れる機会を増やす最も効果的な方法です。特別な準備は必要なく、日常生活の中に英語を取り入れることから始められます。
リビングに英語の絵本コーナーを作りましょう。手に取りやすい場所に絵本を置くことで、お子さんが自発的に英語の本を読む習慣が育ちます。本棚だけでなく、カゴやボックスに入れて床に置くのも効果的です。
英語のポスターやアルファベット表を壁に貼るのもおすすめです。トイレやお風呂場など、毎日目にする場所に貼ることで、自然に英語の文字や単語に親しむことができます。ただし、部屋中を英語だらけにする必要はなく、お子さんが興味を持つ範囲で十分です。
英語を使う時間を決めるのも良い方法です。例えば、朝食の時間は英語の歌を流す、寝る前は英語の絵本を読むなど、決まった時間に英語に触れることで、習慣として定着しやすくなります。
親自身も英語を学ぶ姿勢を見せることが大切です。完璧な英語である必要はなく、一緒に学ぶ姿勢を見せることで、お子さんも英語学習に対して前向きになります。
モチベーション維持のための工夫
お子さんの英語学習を長く続けるためには、モチベーションを維持する工夫が欠かせません。楽しく学ぶことが、何よりも重要なポイントです。
小さな目標を設定し、達成したら褒めることが効果的です。例えば、「今週は英語の絵本を3冊読もう」「新しい英単語を10個覚えよう」など、具体的で達成可能な目標を立てることで、成功体験を積み重ねられます。目標を達成したら、シールを貼る、好きなおやつを食べられるなど、小さなご褒美を用意するのも良いですね。
お子さんの興味に合わせた教材を選ぶことも大切です。恐竜が好きなお子さんには恐竜の英語絵本を、プリンセスが好きなお子さんにはディズニーの英語教材を選ぶなど、好きなテーマで学ぶことで、学習が楽しくなります。
友達と一緒に学ぶ機会を作ることも、モチベーション維持に役立ちます。英語教室に通ったり、英語のプレイグループに参加したりすることで、お子さんは競争心や協調性を育てながら、楽しく英語を学べます。
他の子どもと比較しないこと
英語学習において、最も避けるべきは、お子さんを他の子どもと比較することです。子どもの発達ペースは一人ひとり異なり、比較は自信を失わせる原因になります。
英語の習得スピードは、個人差が大きいものです。早く話せるようになる子もいれば、じっくり時間をかけて力をつける子もいます。大切なのは、お子さん自身の成長を見守り、昨日のお子さんと比べて成長を認めることです。
兄弟姉妹との比較も避けましょう。「お兄ちゃんはもっとできた」などの言葉は、お子さんの自尊心を傷つけます。それぞれの個性や得意分野を認め、それぞれのペースで学習を進めることが重要です。
SNSで他の家庭の英語教育の様子を見て焦ることもあるかもしれませんが、投稿された内容はその家庭の一部分に過ぎません。各家庭の状況や方針は異なるため、自分たちのペースで進めることが最善です。お子さんが英語を楽しんでいるか、少しずつでも成長しているかに注目しましょう。
長期的な視点を持つことの重要性
英語学習は、数カ月や1年で完成するものではありません。幼児期から大学生、社会人まで、長期的な視点で計画を立てることが大切です。
すぐに結果が出なくても、焦らないことが重要です。特に幼児期の英語学習は、目に見える成果が出にくい時期があります。しかし、この時期に蓄積された英語の音やリズムの感覚は、後の学習の土台として必ず役立ちます。
途中で停滞期があっても、諦めずに続けることが大切です。英語学習には、急激に伸びる時期と、伸びが感じられない時期が交互に訪れます。停滞期も学習を続けることで、次の成長段階への準備をしています。
親自身もリラックスして取り組むことが重要です。親が焦ったり、イライラしたりすると、その雰囲気がお子さんに伝わり、英語を嫌いになってしまう可能性があります。英語学習を親子のコミュニケーションの時間として楽しむ気持ちを持ちましょう。完璧を目指さず、少しずつ前進する姿勢が、結果的に大きな成果につながります。
よくある質問と悩み
英語教育に取り組む親御さんからは、様々な質問や悩みが寄せられます。この章では、特に多く聞かれる質問に答え、不安を解消するお手伝いをします。
実際の体験談や専門家の意見も交えながら、具体的な解決策を提示していきます。
英語教育の開始時期について
「英語教育はいつから始めるべきか」という質問は、最も多く寄せられるものの一つです。結論から言えば、早ければ早いほど良いというのが専門家の一般的な見解ですが、焦る必要はありません。
0歳から始めるメリットは、英語の音を聞き分ける能力が最も高い時期に英語に触れられることです。しかし、1歳、2歳、3歳から始めても、十分に効果は期待できます。重要なのは、始める時期よりも、継続することです。
すでにお子さんが4歳や5歳になっている場合でも、遅すぎることはありません。言語習得の臨界期は10歳頃までとされているため、小学校入学前に始めれば、十分にバイリンガルレベルの英語力を身につけることができます。
「もう遅いかも」と諦めるのではなく、今日から始めることが大切です。始めようと思った時が、その家庭にとっての最適なタイミングです。お子さんの興味や家庭の状況に合わせて、無理のない範囲でスタートしましょう。
日本語への影響の心配
「英語を早く始めると、日本語の発達に悪影響があるのでは」という心配も、よく聞かれます。しかし、適切なバランスで行えば、英語学習が日本語に悪影響を与えることはありません。
研究によると、バイリンガル環境で育った子どもは、一時的に言葉の発達が遅れることがありますが、これは2つの言語を整理している過程であり、最終的には単言語環境の子どもと同等か、それ以上の言語能力を獲得します。
日本語を優先する原則を守れば、問題はありません。家庭での会話は主に日本語で行い、英語は教材や教室で学ぶという形が理想的です。母語である日本語での豊かなコミュニケーションが、実は英語力の土台にもなります。
もしお子さんが日本語と英語を混ぜて話すようになっても、心配する必要はありません。これは「コードスイッチング」と呼ばれる正常な現象で、2つの言語を自由に使える証拠です。成長とともに、自然に使い分けができるようになります。
費用対効果の考え方
英語教育にかかる費用は、家庭によって大きな負担となることがあります。効果的な英語教育は、必ずしも高額な投資を必要としません。
英語教室の月謝は、週1回で5,000円から15,000円程度が相場です。教材費や入会金を含めると、年間10万円から20万円程度かかります。一方、図書館の英語絵本や無料の動画コンテンツ、親子での英語の歌など、お金をかけずにできる方法もたくさんあります。
高額な教材を購入する前に、まずは低コストの方法を試してみることをおすすめします。市販の英語絵本は1冊1,000円から2,000円程度で、何度も繰り返し読むことができます。YouTubeの無料英語チャンネルや、図書館の英語絵本を活用すれば、ほとんど費用をかけずに英語環境を作れます。
投資対効果を考える際は、お子さんが楽しんでいるか、継続できているかが重要な判断基準です。高額な教材を購入しても使わなければ意味がありませんし、安価でもお子さんが夢中になれる教材なら、十分な効果が期待できます。
親の英語力が不十分な場合
「自分の英語力に自信がないので、子どもに英語を教えられない」という悩みも多く聞かれます。しかし、親が完璧な英語を話せる必要はまったくありません。
大切なのは、お子さんと一緒に英語を楽しむ姿勢です。発音が正しくなくても、絵本を読んだり、歌を歌ったりすることで、お子さんは英語に親しむことができます。むしろ、親が楽しそうに英語に取り組む姿を見ることで、お子さんも英語に興味を持つようになります。
正しい発音や文法を学ばせたい場合は、ネイティブスピーカーの音声教材やオンライン英会話を活用しましょう。CD付きの絵本や、音声ペン付きの教材を使えば、正しい発音を聞かせることができます。
親も一緒に学ぶという姿勢を見せることは、お子さんにとって良い影響を与えます。「ママも英語を勉強しているよ」「この単語、何て意味だろうね」と一緒に調べることで、学ぶことの楽しさや、分からないことを調べる習慣も身につけられます。完璧でなくても、一緒に成長する気持ちで取り組むことが大切です。
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